私たちの仕事は医療を支える製造業

私たち上田製袋は、医療現場を支える重要な役割を担っています。
私たちが製造する滅菌バッグは、医療従事者が安心して使用し、患者様が安全に治療を受けられる環境のための不可欠な製品です。
仮に手術が成功したとしても、感染が発生すれば、治療の成果が台無しになることもあります。そういったリスクを未然に防ぐため、私たちは最高水準の品質を追求し、日々製品を開発しています。

また、現場の看護師や医療スタッフが日常的に使いやすい仕様にもこだわり、実際の医療現場でのフィードバックを大切にしています。患者様への安心と信頼を届けるため、私たちの製品が果たす役割は非常に大きいです。

ものづくりは最高にオモシロイ

ものづくりの魅力は、何よりもその奥深さと工夫にあります。知恵は万人に平等に与えられており、私たちはそれを使ってさまざまな課題を解決しています。

袋製造においては、さまざまな材料を取り扱う中で、「こうすればうまくいくのでは?」という仮説を立て、それがうまくいった瞬間の高揚感は何とも言えないものです。作業自体は機械で行いますが、すべてを数値化することはできません。

手作業で刃物の位置や微妙な調整が必要な場面もあります。ピタッと合わせることができたときの達成感や、難題に直面したときに工夫を重ねて良いものを作り上げたときの喜びは、ものづくりの醍醐味です。

また、作業のスピードアップを図るために新たな仕組みを導入し、改良を重ねて結果が向上すると、さらにやりがいを感じます。このように、ものづくりは常に試行錯誤とアイデア・創意工夫が求められる職業であり、その過程に面白さが詰まっています。

こだわりが製品を左右する

ものづくりの世界に入った当初、私は「機械に袋をセットし、ボタンを押せば簡単にできる」と思っていました。しかし、実際には私たちの仕事は非常に奥が深く、そう簡単なものではありません。

例えば、使用するフィルムの種類やその状態、さらには機械のセッティングの微妙な調整が大きく製品に影響します。同じ機械を使用しても、誰が設定するかによって仕上がりが全く異なるのです。

近年の最新機械は数値で細かく調整できるようになりましたが、昔はすべて手作業で調整していました。とはいえ、数値だけの調整では、完璧な製品を作ることはできません。材料の種類や状態に合わせた職人の技が必要になります。これは、料理人が毎日同じ味を出すために、塩加減を微調整するのと似ています。私たちの仕事でも、まさにこのようなこだわりが求められています。

もしこのこだわりが失われれば、社員の姿勢もブレ、お客様にもその影響が伝わってしまいます。だからこそ、私たちは常に一つひとつの製品に対して、こだわりを持って取り組むことが大切だと考えています。

職人の感覚と技術革新

ただ、最近ではものづくりへのこだわりが少しずつ薄れてきていると感じます。例えば、料理人が一手間かけて味付けをした料理はやはり美味しいですが、今の時代、多くの人は機械的に調整されたコンビニの食べ物で満足してしまうようです。

しかし、私たちが作る袋には、もっと繊細なこだわりが必要です。例えば、看護師の方々が日々の業務で使用する際、袋のピール性(開けやすさ)が非常に重要です。この開けやすさは、数値では測れない、人間の感覚に依存しています。機械による自動設定で一定の品質の製品を作ることはできますが、最も良い製品を作るにはやはり職人の感覚と経験が必要です。

しかし最近、働き方改革の影響もあり、ひとの成長に必要な作業量が圧倒的に足りないと感じることがあります。IT化、機械化、自動化は素晴らしい技術であり、当社でも取り組んでいますが、人間の感性が奪われてしまう側面もあります。

AIや最新技術を駆使して温度や気候に合わせた調整を行えば、確かに「ベター」な製品は作れるかもしれません。しかし、私たちが目指す「ベスト」な製品は、やはり人間の感覚を大切にしなければ作れないと考えています。機械の精度と人のこだわり、その両方を組み合わせて初めて、最高のものづくりが実現するのです。最終的に生き残るのは、人間の感性を育てつつ、IT化を進めた企業だと考えています。

IT化で変わる製造業

製造業において、デジタル化やIT化が生産効率を大幅に向上させるとよく言われます。
しかし、実際にはそう簡単に進められるものではありません。重要なのは、「自分たちがそれを使いこなせるかどうか」です。

現場ではタブレットが使いこなせないスタッフも多く、無理にタブレット化を進めれば、かえって負担が増え、作業効率が下がることもあります。システムが素晴らしいのはわかっていますが、ただ導入すれば良いというものではなく、現場の人々が使えるものを、使いやすい形で少しずつ導入していくことが大切です。

大事なのは、ITが作業を任されるのではなく、あくまでサポート役であること。ITはチェックや集計といった部分を手伝ってくれるアシスタントのような存在として活用すべきです。こうして、現場で働く人々のスキルや感性と、ITの利便性をうまく組み合わせることで、効果的にIoTやDXを取り入れることができると考えています。

医療サプライヤーとしての地位を築く

医療用の袋は、今後ますます国産化が求められています。私たちは、その重要な役割を担い、医療を支えていかなければなりません。海外製品は、展示会などで素晴らしいサンプルを展示しますが、量産化には多くの人々の知識や経験、人材育成、生産管理体制などが必要です。その点で、私たちが持つノウハウは大きな強みです。

私たちは医療の現場を支える存在です。この自負を持って仕事に取り組み、しっかりとした製品を納品することで、必ず結果がついてくると信じています。

しかし、袋を作る仕事自体はまだあまり知られていません。滅菌バッグで私たちが医療を支えているということを広く知ってもらい、この業界の地位向上に貢献したいと考えています。 「工場でただボタンを押すだけ」と思っている人も多いかもしれませんが、製品を作り上げるには多くの努力と技術が必要です。スタッフ一人ひとりが誇りを持ち、職人(マイスター)としての技術を磨くことができれば、未来は非常に明るいものとなるでしょう。

現在、上田製袋では12台の機械を稼働させています。1台あたり約3万袋、12台で36万個の袋を製造できる体制を整えています。滅菌バッグを専門とする企業として、私たちは国内でもトップクラスの生産能力を誇っています。

目指すは都市型未来工場

私たちが目指しているのは、ITやDXといった最新のシステムを取り入れながら、人が主役となって活躍する「都市型未来工場」です。

工場内で機械が勝手に作業しているというイメージを持たれることがあるかもしれませんが、私たちが描いているのは全く違う姿です。

あくまでも人が中心であり、機械はそれを支える道具です。人にしかできない繊細な作業や感覚と、IT技術の利便性を融合させ、より良い製品を作り出す。このコラボレーションが、私たちのものづくりの未来を形作っていきます。

上田製袋は決して大きな会社ではありませんが、その分、みんなで知恵を出し合い、意見を交わしながらワイワイとやっていくことを大切にしています。このチームワークこそが、私たちの強みであり、未来工場の基盤となります。